「ICT」カテゴリーアーカイブ

種差海岸の画像配信のため屋外設置型遠隔監視システムの3号機の検証を開始しました

2016年8月4日(金)は、ある交通機関からの依頼を受け、青森県八戸市にある種差海岸の画像配信状況を某所で展示するため、屋外設置型遠隔監視システムの3号機を検証開始しました。

まずは、屋内にて機器の稼働状況やソフトウェアの設定を行います。

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その後、屋外に持ち出してバッテリーや太陽光パネルの接続を行い、

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無事に3号機の設置が完了しました。2015年12月に1号機を設置しましたが、パネルは屋外に設置したものの監視装置自体は屋内にあり、2016年1月に完全防水型の2号機を設置して現在まで一応連続稼動をしています(途中でCPUというかSoCの熱暴走によりマイコンが何度かハングアップして手動リブートしていますが)。

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今後、一緒に配線した4号機を種差海岸などの景勝地に仮設置するため、引き続き1, 2, 3号機の連続運用時の問題抽出を進めていきたいと思います。

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完全密閉の防水型の機器では、特に炎天下での連続運用のためマイコンの放熱対策が重要であることが分ってきました。

青森県八戸市にある種差海岸の緯度・経度をグーグルアースから見てみると

昨日の八戸市中心街のはっちにて開催された八戸市学生まちづくりコンペディションでは皆さんお疲れ様でした。他の大学やグループの素晴らしい発表も聞けて、とても刺激になりました。

昨日の発表会では、私たちの発表内容に対して適切な助言を下さった市民の方がいらっしゃいました。その内容とはまず、種差海岸について色々と広報をしたいのなら、まずは

種差海岸の緯度と経度は 40.507006,141.607373

ということをしっかりと認識して下さい。とのことです。確かに、種差(八戸)の緯度はちょうどニューヨークと同じ辺りで、かなり高い位置にあります。このような場所にあのような綺麗な景観が広がっているという偶然と奇跡について、もっとよく理解して下さいというご指導だったのでしょう。

あと、その方は、大きな地球儀の上に種差海岸を目印して、地球的(世界的)な視点から市民や観光客に場所を認識させることも重要であると仰っていらっしゃいました。グーグルアースを使うとこんな感じになると思います。

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なので、私たちが遠隔監視に使っている安価なLinuxやアンドロイドOSを搭載したマイコンやタブレットPCを用いれば、ICTによるデジタル地球儀をはっちや種差海岸インフォメーションセンターに置くことにより、安価にこれが実現できると思います。これは小さな子供にも受けがよさそうなので、活動の一つとして実践してみたいと思います。

あと、この方は今の種差だけだけでなく、江戸、明治、大正、昭和における変遷や周辺地域住民の暮らしなどを識者などから聞き開示するべきだとのご意見も下さいました。

こちらも今後の活動内容に加えていきたいと思います。

 

八戸工大のエジソンクラブで八戸市の屋外設置用防水防塵耐候型センサ情報遠隔監視システムを量産しています

2016年2月4日(木)の午前中はとても良い天気で、現在2台稼働中の自作による超小型・安価で運用コストの低い太陽パネルによる太陽光発電も含めたLinux OSで制御されたラズベリーパイというマイコンによる遠隔監視システムは順調に稼動しています。そのうちの一台である一号機は、さらに大きな容量のバッテリーを装着時の充放電特性を確認するため、12V 45Whの蓄電池に換装しています。

そして、1ヶ月以上にわたる屋外設置での実績も出来てきたので、いよいよ装置一式を八戸市内の観光地などの屋外に配置するため、HIT Teamたねちゃんメンバーは八戸工大のエジソンクラブにて防水防塵耐候型センサ情報遠隔監視システムの量産を開始しました。

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4年生の技術チーフである菊地君の指導のもと、技術担当の3年生の若沢君と坂本君がそれそれ1台、計2台の八戸の綺麗な景観などをリアルタイムで配信出来る防水防塵耐候型遠隔監視システムを製作しています。

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実際の海岸や施設、公園などの公共的な場所への設置には、システム自体が火事や危害を与えないかなどの安全性や耐久性、防犯対策など、様々な問題をクリアしなければなりませんが、関係の方々と協議を進めながら、実現が出来ればと考えております。

屋外に設置した太陽光発電遠隔監視システム(2号機)は2016年に入って最高の発電量を記録しました

八戸市の屋外に設置した自作の教材用のラズベリーパイ(Raspberry Pi)というLinuxマイコンと50Wの太陽光パネル、12V・20Ahの蓄電池からなる下図の小型で安価かつ運用コストの低い太陽光発電遠隔監視システム(2号機)は、1月22日(金)に2016年に入って最大の発電量を記録しました。

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以下の図に示すように昨日との発電量の差は明白で、連続して35Wを超える時間が3時間を越えていることから、その他の時間の発電量の積算も考えると、ざっくりと35×4=140Whは発電していると思われます。但し、実際の1日のトータルとしての発電量は各時間の発電量の瞬時値の時間積分(弧の面積)で計算できるので、正確な発電量はこの理論に基づいたシステムへのプログラムの組み込みが必要です。今日の発電特性はデータが綺麗な弧を描いているので、多分この時期のチャンピオンデータでしょう。

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また、この図より15時以降に急激に発電量が低下していることも確認でき、この時間から日が西に傾きパネルへの入射角が大きくなることが理由と思われます。

さらに、1ヶ月近くの観測で分かってきたことは、冬場には数日間にわたり発電が見込めない日があるため、晴天の日に蓄えた電力を長時間消費するために、より大容量のバッテリーが必要なことです。

八戸市での太陽光パネルを用いた発電特性については、大分把握が出来てきたので、引き続きシステム改善のためのデータ収集を続けて参ります。

屋外に設置した太陽光発電遠隔監視システム(2号機)は無事に吹雪を乗り切りました

2016年1月18日(月)の夕方から深夜にかけ、八戸市内は激しい風に見舞われました。なので屋外に太陽光発電遠隔監視システムの2号機を設置したHIT Teamたねちゃんはとても不安だったのですが、無事に吹雪を乗り切ることが出来て一安心です。写真は翌日の1月19日(火)のシステム周りの様子です。

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ご覧の通り、特にパネルは完全に雪に埋もれてしまいました。

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但し2号機自体は今のところ、昨日に引き続き蓄えた電気を消費しつつ、連続動作しています。これを見ると、昨日、本日と全く発電しておりませんが、現時点でバッテリー電圧は12.1Vなので少し余裕があります。このシステムの平均消費電力は2.8W程度なので、あと1日くらいは太陽光による発電がなくても動作を維持できそうです。

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一方、別の場所に設置したシステム(1号機)は12Ahと小さな容量のバッテリーを用いているため、電圧は11.15Vで非常に厳しい状態です。本システムは10.6V程度でバッテリーからの負荷への電力の供給を停止するので、この状態では多分、明日の朝までの連続稼動は見込めません。理由として、この場所に設置したシステムはUSB接続の温度・湿度センサも接続しているので、消費電力が3.2W程度と若干多くなっていることがあげられます。

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というわけで現時点では、八戸市で50Wの太陽光パネルを用いて常時3W程度の消費電力を有する装置を連続稼動するためには、3,4日の悪天候時の蓄えた電力の消費を考慮すると、20Ah程度の容量が大きなバッテリーが必要であると判断しています。

もしくは低消費電力なマイコン、センサおよび無線インターネットアクセス機器を選択し、システム自体の低消費電力化が必要です。これは今後の開発の課題となりそうです。

屋外に設置した太陽光パネルによる遠隔監視システム(2号機)は吹雪の中で元気に稼働中

2016年1月18日(月)は八戸市はかなり激しい吹雪に見舞われています。これにより、市内の屋外(屋上)に設置したラズベリーパイというLinuxマイコンを用いた自作の教材用太陽光パネルによる遠隔監視システム(2号機)は太陽光パネルだけでなく、防水ケースも雪の中で埋もれた状態で発電量はゼロですが、装置自体は前日までにバッテリーで蓄えられた電気を使いながら(システムの稼動電力は3W)、元気に連続稼働中です。ちなみにバッテリーは長期間の悪天にも耐えられるよう20Ahのものに換装してあります。

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図の通り、これで屋外に設置して5日が経過していますが、さらに雨季の長雨や真夏の長時間の炎天下、地震などの自然災害を乗り切ることが出来れば、本格的な実用に耐えられるシステムとなります。

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なので、引き続き動作の状態を監視して参りたいと思います。

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太陽光パネルやバッテリーの発電充電状況も含めたセンサ情報遠隔監視システム(2号機)を屋外に設置しました

2016年1月13日(水)はラズベリーパイというLinux OSの動作するマイコンによる太陽光パネルやバッテリーの発電充電状況も含めたセンサ情報の遠隔監視システム一式(2号機)を防水ケースに入れて屋外に設置し、追加の防水処置を施しました。

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すでに50Wの太陽光パネルを取り付けた発電状況等の長期データは取得済みなので、今後は実際にシステムが雨風や降雪、さらには温度変化に負けず、動作し続けるかの確認となります。よって、連続運転しつつ今後の推移を見守りたいと思います。

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携帯電話の父と呼ばれている奥村善久先生の話を聴講しました

2016年1月12日(水)は八戸工業大学工学部電気電子システム学科の講義室で情報通信法規という授業にてNTT docomoの奥村幸彦先生の講義を聴講しました。もちろんHIT Teamたねちゃんメンバーも複数の人がこの講義を受講しています。 その講義の最後に、日本が誇る携帯電話の父と呼ばれている奥村善久先生の話を聞くことが出来ました。ちなみに、この講義の講師の奥村幸彦先生は奥村善久先生とは直接の親類ではありませんが、善久先生が受賞時にNTTグループとして関係省庁および報道機関と対応する必要があり、善久先生の秘書的な役割で様々なお仕事に当たられたそうです。

皆さんは携帯電話サービスは、どの国が世界で最初に商用化されたかご存知でしょうか?正解はなんと日本なんです。1979年12月3日、世界初の準マイクロ波(UHF)帯セルラー方式による商用自動車電話サービスを東京23区で開始しました。

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この事業に多大な貢献をしたとして、金沢工業大学名誉教授で電電公社OBの奥村善久先生が工学界のノーベル賞とも言われているチャールズ・スターク・ドレイパー賞を2013年に受賞されました。受賞理由は、自動車・携帯電話ネットワーク・システムおよび標準規格に対する先駆的貢献です。

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とても名誉なことなので、NTT docomoからもプレスリリースがされています。

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2013年2月19日のNAE表彰メダル授与の様子です。

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授与されたメダルと表彰状です。同時受賞者は、北欧・ノルウェーの研究者Thomas Haugさん、AT&Tの研究者のJoel Engelさん、Richard Frenkielさん、世界で始めて携帯電話でAT&Tのライバルと電話した元Motorola(モトローラ)社員のマーティン・クーパー(Martin Cooper)さんという、そうそうたる顔ぶれです。

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奥村先生の具体的な受賞理由として 1.VHF・UHF帯移動無線での電波伝搬特性の解明と奥村カーブの確立 2.大容量・広域自動車電話方式の構想および実用化計画の策定 があげられます。

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1962~1965年当時は電卓も無かった時代ですから、真空管製の測定器を三菱のバスに積み込み、ペンレコーダで受信電界強度を記録しつつ、都市部の電波伝搬特性を記録していたそうです。そしてこれらの測定結果を都市の形状等で分類して図にまとめたものが、無線通信関係者にはとても有名な奥村カーブです。奥村カーブは都市部では自由空間伝搬損失がそのまま適用できず、建物による遮断や散乱の影響で、受信電界強度が下がることを示しており、この図は現在でも、携帯電話サービスを構築時のシステム設計のよりどころとされています。

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さらに、当時の電電公社の無線通信技術といえば、YRP野比駅にある横須賀通研(今はNTT未来ねっと研究所でしょうか?)が総本山みたいなイメージがありますが、奥村先生は武蔵野通研の移動無線研究室長として、大容量・広域自動車電話システムの研究実用化を牽引されました。また、昭和46年6月にAT&Tベル研究所に訪問し、セルラー方式の研究についてベル研メンバーと議論をしたそうです。そのメンバーに今回の受賞者2人が含まれています。

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その後、電電公社・電気通信研究所における8年の研究開発を経て、セルラー方式が1979年に東京で世界で始めて実用化されました。現在検討されている第5世代(5G)の携帯電話システムも、この奥村先生たちの成果である第1世代(1G)の技術を引き継いでいるとも言えます。

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写真は総務大臣からの表彰で、協同研究者の岡山大学教授・秦 正治先生です。

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秦 正治教授の功績は、こちらに詳しく書かれています。そんな奥村善久先生が、なんと2016年1月13日(水)19:00からのテレビに出演するそうです。日本テレビの「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」の新コーナー「ノーベル賞じゃないけどノーベル賞くらいスゴい賞を取った日本人の旅」です。

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ちなみに、八戸工大の柴田幸司先生は、金沢工業大学の学部4年生の時に奥村善久先生の研究室に配属され、卒業研究として移動体通信における電波伝搬の研究の指導を受け、当時は測定車で金沢市内を走り回りながら、NTT移動体無線網・金沢西念基地局から発射される800MHz帯の電波における市街地の受信電界強度を奥村カーブとフィッティングさせていました。その時に、当時就職部長でもあった善久先生の紹介で、Z研究が行われていた静岡県島田市の生まれだったこともあり、主にマイクロ波帯の無線通信システムやその構成部品の開発を行っている島田理化工業という会社を推薦していただき、1993年に島田理化に入社して上司から電磁波工学やアンテナ、マイクロ波技術を学びつつ、19GHz帯高速無線LANシステム(VJ25 System)や携帯電話基地局や衛星搭載用コンポーネントの開発などに携わりました。そして、退社後の現在も無線通信やミリ波レーダーに関する研究を続けているそうです。講義とは直接関係ありませんが、下記は柴田先生が2013年11月29日(金)のマイクロウェーブ展MWE2013という展示会で展示委員会委員という仕事の合間の奥村先生の講演時に20年ぶりに再会し、一緒に撮っていただいたツーショット写真だそうです。

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これも何かの縁を感じますね。 これを期に、よりいっそう世の中のためになることをしていかなければと誓う、HIT Teamたねちゃんメンバーなのでした。

太陽光パネルの屋外設置によるLinuxマイコンによる遠隔監視システム(1号機)の運用試験を開始しました

2015年12月24日(木)は自作した50Wの太陽光パネルを青森県八戸市の屋外に設置し、発電した電力を12V・9Ahのバッテリーに充電させつつ、自作した安価な4G-LTEの携帯電話回線とWi-Fi経由でラズベリーパイ(Raspberry Pi)という、屋内に設置した教材用Linuxマイコンによる遠隔監視システム(1号機)を常時運用できるかの試験を開始しました。これは、太陽光パネルとバッテリーの組み合わせが、当該の低価格な太陽光発電システムの連続運転に適しているかが判される、とても重要な試験です。

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太陽光、バッテリー、負荷の電圧、電流、電力を監視しながら、以下の通り、装置の設置場所の温度・湿度を逐次監視しています。試験を開始したばかりなので、グラフの時間変化も短い状態ですが、何とか一晩をしのぐことが出来ました。この取得データが数日間、数週間と途切れずに連続していれば、自然エネルギーだけによる独立システムが連続稼動できていることになります。

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さらに、Wi-Fiと携帯電話回線およびVPN経由でWindows PCからSSHにてマイコンにログインし、I2Cで接続したINA226というセンサの情報を取得するPHPのスクリプトを稼動させたところ、以下の通り12月26日(土)の9:30時点での発電量が10.7W、システムの消費電力は3.0Wであることを確認できました。現時点で2日間連続稼働中です 。

発電状況監視

また、2015年12月26日の11:00過ぎには下図の通り、発電電力は31.3Wにも達しました。

発電状況2015年12月26日11時03分

そこで、Muninというソフトウェアで12月29日(火)と30日(水)の2日間の発電量の時間変化を観測した結果は以下の通り、瞬時的には40W以上の発電が確認出来るものの、晴天時と曇天時の発電量には大きな違いが見られます。また、この期間の夜間の無発電時も含めた平均発電電力が3.3Wということは、八戸地域で50Wの太陽光パネルを用いた場合、常時運用可能な電力が概ね3.0W以下ということになり、かなり厳しいことが分かります。

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一方、2日間の負荷出力は以下の通り、このラズベリーパイというLinuxマイコンを用いた太陽光発電遠隔監視システム自身の消費電力は3W程度と一定である一方、負荷両端の電圧は太陽光パネルによる発電と負荷によるバッテリー電力の消費の影響により、17Vから12V程度まで変化しています。

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12月中にIoT機器である遠隔監視システム本体も屋外に設置し、最終的な全てのシステムにつき屋外での耐久試験を開始する予定ですが、出てきた問題を一つずつ解決しながら、実フィールドでの運用までもっていければと思います。

但し、冬は積雪による発電量の低下が懸念されるので、色々と注意が必要です。

NTT docomoの研究者による次世代携帯電話システムの講演を聴講しました

ICTで地域の活性化を目指しているHIT Teamたねちゃんは、2015年12月7日(月)には、モバイル技術と地域おこしの融合の勉強のため、八戸工業大学工学部電気電子システム棟にて行われた「次世代モバイル通信5Gの最新研究開発動向」と題した講演会を聴講しました。

今回の講師は株式会社NTTドコモ 先進技術研究所 5G推進室 5G方式研究グループリーダ 主幹研究員で奈良先端科学技術大学院大学の教授も兼任されている奥村幸彦先生で、司会は電気学会東北支部青森支所長を務めている花田一磨先生です。HIT Teamたねちゃんメンバーも5人もの学生が次世代ICTの勉強のため講演会に参加しました。

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奥村先生は第3、4世代携帯電話システムの開発を歴任され、現在は第5世代携帯電話システムの開発をされていると共に、3GPP 第3世代(3G)移動体通信システムの標準化プロジェクトにて、日本国を代表して各国の代表と第4および5世代携帯電話に使われるシステムや、さらに高い周波数帯の標準化の交渉を行っているとても凄い人です。

講演内容としては、まずは携帯電話の第1世代から現在、さらには未来までの変遷についてです。第1、2世代までは日本の独自システムでしたが、第3世代からは標準化されて世界共通で使えるようになりました。

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現在の携帯電話システムは4G(第四世代)と呼ばれ、3.9GのLTEからさらにキャリアアグリゲーションやMIMOなどを追加し発展させたLTE-Advancedとして、全国に展開しているそうです。さらにスモールセルやC-RANアーキテクチャの導入により、より高速かつ高効率なモバイルインターネットアクセスを目指しているとのことです。

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高度化C-RANの特徴としては、信号処理部を根元に一元化しているため、マクロセル、マイクロセル、フェムトセル間を端末がハンドオーバーしても極めてスムーズな通信が実現できることです。これにより山の手線内でも高い実効速度を実現できます。

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5Gが目指す性能要件は大容量、超高速に留まらず、IoT(Internet of Things)を見越した超大量デバイスからの接続の対応と省電力と低コスト化、遠隔医療などにも応用可能な1mS程度の超低遅延の実現など多岐にわたります。

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これらの開発の加速と実現のため、世界の主要な無線データ通信の国際会議で議論がなされており、docomoも日本の代表として提案などを行っています。

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さらに飛躍したモバイルインターネットの発展のためには従来のLTEの枠組みにとらわれず、新しいRadio Access Technology, New RATも検討がなされています。

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また、5Gの要求条件を満たすためには複数の技術を組み合わせる必要があり、たとえば従来の周波数領域での直交変調だけでなく、時間領域での変調も考慮したシステムも検討されているとこのとこです。

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これらの要素技術の一例としてMassive MIMO技術があります。マッシブには大規模、沢山という意味があり、空間での伝送ストリーミングを多重化するだけでなく、多素子アレーアンテナによりビームを狭め伝送距離も伸ばし、ビームフォーミングにより基地局と端末間との効率的な電波伝搬を実現することができるそうです。

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たとえば街中に配置したスモールセルと端末が狭ビームでデータのやり取りを行うことでスループットの向上を目指します。

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マッシブMIMOでは多素子のアンテナを配置するため、波長と素子間隔の関係からマイクロ波・ミリ波などより高い周波数を用いる必要がありますが、自由空間での伝搬損失は周波数に比例して大きくなる性質があります。しかし多素子でビームを狭めることにより、実際にはオムニアンテナなど低利得なアンテナを用いた場合よりも伝搬距離を伸ばすことが可能になります。

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これらを応用することで、たとえば過疎地や山間部でも、従来はマクロセルから道沿いにある程度ビーム幅を狭めて放射していたものを、マクロセルのアシストを受けながら道沿いに設置されたスモールセルが、ビームフォーミングにより端末とのより高効率な接続を実現できるそうです。私は連れの実家が青森市浪岡の山間にあるため、この話はより現実的なものとして聞くことが出来ました。

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また、マッシブMIMOは基地局-端末間の接続に留まらず、従来は光バックボーンやエントランス回線が担っていたバックホールリンクとしても使用できる可能性を秘めています。

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さらに先ほども述べたように、より柔軟な接続を実現するため、直交多重だけでなく時間領域での変調も考慮した非直交多重NOMAへの対応も検討中です。

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一方、マイクロ波・ミリ波など周波数が高く波長の短い電磁波の移動体通信としての商用利用はまだほとんど行われていないことから、建物での粗面散乱や樹木損、降雨減衰、人体遮蔽損など、シミュレーションや実測で実際のシチュエーションを仮定して解明していく必要があります。

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これら実際の街中などでの電波伝搬やシステムの状況、ネットワークの状態をすべて含めた形で通信速度や遅延などを一元的に可視化した状態で確認できるシミュレータをNTTドコモで開発し、様々な分野で利用しています。都市部の一例として、新宿でスマートフォンなどを用いて動画ストリーミングを受信している時の状況をシミュレーションした結果が以下の図で、LTE-Advancedや5Gを想定した通信状況の確認を目指しています。

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これは、2020年のオリンピックなどを想定した5Gによる大規模人数を収容した施設での快適なモバイルネットアクセスを実現するためのシステムの実現構想です。数万人規模の観客が一斉に携帯電話回線にアクセスし動画のダウンロードを行えるような検討を行っています。この様に、NTT docomoではオリンピックを一つの区切りとして、各国から来日されるお客様に日本の無線通信技術の優位性をアピールすべく、大きな目標を持って研究開発に取り組んでいるとのことです。

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さらに、これらを実現するためには世界の各企業との協業が必要で、以下の図のパートナーとともに次世代技術の開発にあたっていくとのことです。

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私は去年も奥村先生のご講演を八戸工大で聞いていますが、まずスライドや講演内容が去年とまったく異なることにびっくりしました。また、昨年度にも提案されていて、その時にはこんなの本当に実用になるのかなぁと思いながら聞いていたマイクロ波帯のマッシブMIMOシステムがすでに実用化のためのさまざまな実証試験が行われており、実現可能性の極めて高いものであると知ったことです。

ICTはハードウェアも含め、極めて開発進捗の早い世界であることを実感しました。さらに、奥村先生のご講演を聞いていると、ご講演で提案されているシステムが5年、10年後には確実に実現されているのではと確信できるようにもなりました。

質問タイムでは、モバイルインターネットで色々と出来るようになるとアプリケーションとしてのアイデアが大事で、それらのアイデアの発掘を考える土壌を育成するため、NTT docomoとしてアイデアソンやハッカソンを企画運営しているとのことでした。

ちなみに私は10年くらい前に報道2001という番組における政策の説明で、元マッキンゼーで自民党に所属されている茂木敏充さんが使っていた、三段ロケットという言葉が好きです。1段目、2段目と燃料が充填されたブースターで加速して、燃料が空になったらそれらのブースターは外し、衛星となって次のフェーズに進んでいくというのは、どの世界でも飛躍するために行われる手法ということでしょか?

今回の奥村先生のご講演では、携帯電話システムの未来だけでなく、将来に渡って生き残っていけるグローバルな視野での仕事への取り組み方についても教えて頂き、このことについて深く考える良いきっかけとなりました。