八戸工業大学工学部・電気電子システム学科では、大学生が主体のICT機器の開発を通し、八戸圏域での地域連携活動に取り組んでいる。平成23年からの八戸工業大学防災技術社会システムセンターでの震災に強い通信ネットワークの研究を発展させ、平成25年に携帯機器に組み込まれる高性能なCPUを実装した小型のマイコンをいち早く導入し、インターネットを用いた安価かつ低い運用コストな情報通信システム(IoT機器)を開発した。この機器を、平成26年には三本木高校、平成27年には工大二高の普通高校の生徒を対象に、大学生が指導するICT教育へと応用し学生主体の高大連携を図ると共に、平成26年には八戸工大が主催する学生チャレンジプロジェクトにて、青森県や八戸圏域の観光や街づくりへICTを応用する活動を展開し、種差海岸では講習会活動等を実施した。平成27年、この活動が八戸市学生まちづくり助成金制度に採択され、学生目線で八戸の魅力を取材してブログや宣伝ポスターで発信すると共に、種差海岸等の観光地の屋外に設置して魅力を配信するシステムの開発に至った。この成果は、八戸市中心街での“はちのへホコテン”や、チーノでの宣伝活動を兼ねた公開展示、市が主催する“はっち”での発表会にて公表し、地域とIoTのつながりの理解を得た。平成28年には、地域住民や観光客を対象とした交通ナビゲーションシステムの開発に着手すると共に、JR東日本の依頼により八戸駅にて種差海岸の画像配信イベントを実施してデーリー東北紙にも掲載された。また、同大学の4年生がICTを活用した農業支援システムや画像やセンサ情報をSNSへ自動投稿する機器も開発して成果を学会発表すると共に、青森COC+推進機構八戸ブロックが主催するイノベーションベンチャーアイデアコンテストでは準グランプリ賞を得た。これら継続的な活動は、地元に根付いた学生のベンチャーマインドを育成し、自らが持つ先進的スキルを観光や街づくりなど地域住民とのふれあいを通じて、積極的に地域振興へ役立てる高次の達成度教育に貢献している。更に、寒冷地である北東北の風土に着目してシステムを学生自身のアイデアで進化させ、ICTを活用した農業の6次化や、地域の発展に貢献する学生提案型の工学教育へと発展させ、工学教育を実践している。今後は地方公共団体や交通機関と連携を強めつつ、活動を展開していく。
農業支援システムと若沢君 Tweetボット装置と新谷君
交通ナビシステムと赤松君